【知れば得する純米酒の選び方】火入れをしない生酒・生原酒・無濾過生原酒の魅力

生酒・生酒のラベル

一般的な純米酒は滅菌のために火入れをしますが、火入れをしないで生のまま出荷される純米酒もあります。
生の純米酒は、瓶詰めをするタイミングによって3種類あり、わずかにシュワシュワという発泡性があるのが特徴で、のど越しがよく香りも華やかでとても人気があります。
ここでは、生のまま出荷される純米酒について詳しく解説します。

火入れをしない純米酒「生酒・生原酒・無濾過生原酒」の特徴

純米酒には、滅菌のための火入れをせず生のまま出荷するものがあります。

(1) 生酒(なまざけ)
(2) 生原酒(なまげんしゅ)
(3) 無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)

生酒のメリット・デメリット

生酒・生原酒・無濾過生原酒のメリットは香りと味、デメリットは保管方法と価格です。

<メリット>

火入れをしない生酒・生原酒・無濾過生原酒は、米で造ったにもかかわらず、みずみずしいフルーツのような香りと味わいが楽しめます。

また、シュワシュワとした微炭酸のような爽快感があり、飲み口がさわやかです。

<デメリット>

生酒・生原酒・無濾過生原酒は酵母が活動しているため、冷蔵庫に入れておかないと、すぐに味が変わってしまいます。保管は要冷蔵です。

また、貯蔵にも輸送にも手間がかかるので、火入れしたお酒に比べ価格が高くなってしまいます。

火入れのメリット・デメリット

「火入れ」は「火当て」ともいい、純米酒を加熱して殺菌し味を安定させることを目的として行われます。

火入れといっても純米酒に直接火を当てて沸騰させるわけではなく、数十秒間だけ60℃程度ににあたためることをいいます。

火入れをすることのメリット・デメリットは、生酒・生原酒・無濾過生原酒の反対になります。

<メリット>

純米酒は殺菌することにより、味の劣化を遅らせることができるので、美味しさを長く保つことができます。

また、火入れをすることにより長期保存が可能になり、保管方法は要冷蔵ではなく冷暗所になるので管理が楽になります。

<デメリット>

数秒間といっても加熱してしまうと、できたてのフレッシュさは損なわれるので、生の純米酒の繊細さを味わうことができなくなってしまいます。

生酒・生原酒・無濾過生原酒は瓶詰めするタイミングの違い

生酒・生原酒・無濾過生原酒は、製造工程の後半で瓶詰めをするタイミングが違います。

純米酒の製造工程は、玄米から生酒(なましゅ)ができるまでの前半と、生酒を貯蔵して出荷するまでの後半に分けることができます。

火入れは製造工程の後半に行いますが、生酒・生原酒・無濾過生原酒は火入れをしません。

純米酒の製造工程[前半]

純米酒の製造工程の前半は、玄米から生酒(なましゅ)ができるまでです。

ここまでの工程では、火入れをするお酒と生酒の違いはありません。

できあがったお酒は火入れをしていない生のお酒です。

純米酒の製造工程[後半]

火入れは製造工程の後半に行いますが、生酒・生原酒・無濾過生原酒は火入れを行いません。

生酒・生原酒・無濾過生原酒の違いは、瓶詰めをするタイミングです。

無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)

製造工程前半でつくられた生酒(なましゅ)そのものです。

ろ過をしていないので、濁(にご)りが残っています。

濁りは「滓(おり)」といわれ、生の純米酒の美味しいコクがあります。

まだ酵母が働いていて発酵を続けているので、シュワッとした発泡性が強く残っています。

できたてホヤホヤの美味しさを味わうには、無濾過生原酒が最適です。

かすなどを沈めて透明になったところを瓶詰めした無濾過生原酒もあります。

生原酒(なまげんしゅ)

無濾過生原酒をろ過して造ります。

ろ過の方法は色々あり、滓(おり)を完全に取り除いたもの、少し残したもの、多めに残したものなど、酒蔵のこだわりが現れます。

滓(おり)を取り切ったものは透明になり、無濾過生原酒よりもスッキリした味になります。

滓(おり)を残しているものは、無濾過生原酒のようなコクがあります。

生酒(なまざけ)

生原酒に割水をしてアルコール度を調整したものです。

生原酒よりもサッパリした味になります。

発酵は続いているので微発泡性がありますが、生のお酒の中では一番落ち着いた味になります。

製造工程の前半でできる生酒(なましゅ)をろ過して水を加えたものが生酒(なまざけ)です。同じ字ですが意味が違います。

生酒・無濾過生原酒の例

生酒の例

鳥海山(ちょうかいさん) 吟味良好 純米吟醸 生酒[秋田県]
原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)
精米歩合:55%
アルコール度数:15度
秋田酒こまちを100%使用。生酒のため要冷蔵です。

もちもちして美味しい食用の「秋田こまち」というお米がありますが、この純米酒に使われているのは「秋田酒こまち」。お酒を造っても素晴らしい味を醸し出す米処秋田のお米です。

アルコール度数を15度に抑えているのでサッパリとしてキレがあり、生酒の美味しさを存分に楽しめる一品です。

無濾過生原酒の例

誠鏡(せいきょう) 純米超辛口 無濾過生原酒[広島県]
原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)
精米歩合:65%
アルコール度数:16度
広島県産米を100%使用。無濾過生原酒のため要冷蔵です。

日本酒度+8の超辛口ですが、無濾過生原酒のため上品な甘味があります。

価格も抑えられていて、蔵元のこだわりを感じる一品です。

裏ラベル上部には生原酒と書いてありますが、説明文に「搾(しぼ)りたてをそのまま瓶詰めした」と書いてあるので無濾過生原酒です。

このように、生原酒や無濾過生原酒でも「生酒」、無濾過生原酒でも「生原酒」としかラベルに書いていないものもあります。

まとめ

生酒・生原酒・無濾過生原酒は、火入れをした純米酒にはない魅力があります。

シュワシュワとした発泡性は、まだお酒が生きていることを教えてくれます。

劣化が早いので、毎日少しずつ味が変わりますが、これも生の魅力かもしれませんね。

保管は要冷蔵なので手間がかかりますが、メロンやマスカットなどのようなフルーティーで華やかな香りと甘味は、一口飲んで「おいしい!」と言ってしまうことも度々。ぜひ生の純米酒をご賞味ください。

【純米酒の選び方】失敗しないための3視点+知っておきたい7知識 では、純米酒選びで失敗しないために必要な3つの視点、美味しい純米酒を選ぶために知っておきたい7つの知識をまとめているので、ぜひお読みください。

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