純米酒はどんな日本酒? 添加物が一切含まれていない唯一の日本酒

純米酒ラベル

そもそも純米酒はどんな日本酒?

純米酒とは、米と米こうじ、水だけで造られた、添加物が一切含まれていない日本酒です。

純米酒以外の日本酒は、例外なく添加物が含まれています。

純米酒は添加物が含まれていないので、純粋に米本来の味を楽しむことができる唯一の日本酒です。

酒税法上の日本酒と清酒

酒税法では、日本酒は清酒と清酒以外に分類されます。

一般に日本酒と呼ばれているお酒は、酒税法では清酒といいます。

国語辞典で「日本酒」を調べると次のように書かれているので、「日本酒といえば清酒のことだ」と考えてよさそうです。

【日本酒】日本の伝統的な醸造法によって作られた酒。特に清酒をいう。

明鏡国語辞典より引用

清酒は特定名称酒と普通酒

清酒は、特定名称酒と普通酒に分類されます。

特定名称酒と普通酒の原材料

特定名称酒と普通酒では原材料が違います。

特定名称酒の原材料は普通酒よりも厳格な規定があります。

普通酒は醸造アルコール以外にも添加物が認められています。

酒税法上の純米酒は特定名称酒の一部

酒税法上の純米酒は、特定名称酒の一部です。

酒税法で定められている日本酒を図に表しました。

純米酒以外の清酒は、醸造アルコールが添加されているのでアル添酒と呼ばれます。

図の①~④が純米酒で、⑤~⑨がアル添酒です。

純米酒とアル添酒のラベル

純米酒はラベルに「純米」という文字が書かれていますが、アル添酒には「純米」の文字は見当たりません。

純米酒とアル添酒の原材料

純米酒の原材料は米と米こうじだけですが、アル添酒の原材料には醸造アルコールが含まれています。

通常、水は原材料に記載されていません。

純米酒・アル添酒の味の違い

純米酒とアル添酒は、味に違いがあります。

アル添酒を飲むと醸造アルコールの存在を感じます。

後味は醸造アルコール特有のものがあります。

純米酒は醸造アルコールが添加されていないので、その存在感はありません。

醸造アルコール特有の後味もありません。

日本酒本来のスッキリとした味わいが楽しめます。

後味でわかる醸造アルコールの存在

目の前に日本酒の瓶があれば、純米酒かアル添酒かわかります。

ラベルに「純米」という文字があれば純米酒です。

原材料を見てもわかります。純米酒は米と米こうじだけですが、アル添酒にはそれ以外に醸造アルコールが書いてあります。

しかし、日本酒がグラスや徳利(とっくり)に入っていると、純米酒かアル添酒かを判断できません。

そのようなときは後味で判断できます。

アル添酒を飲むと、舌の両脇奥側に苦みのような渋みのような味が残ります。

これが醸造アルコールの存在です。

純米酒ではこのような後味は一切感じられません。

アル添酒は舌に残る後味で醸造アルコールの存在がわかります。

この醸造アルコールの後味は私が個人的に感じたものですが、この話を聞いた10人のうち9人は同意してくれます。目の前に純米酒とアル添酒があったら、ぜひ飲み比べてみてください。違いが明らかに感じられると思います。

「美味しんぼ」で語られた醸造アルコール

グルメコミックの【美味しんぼ】「季節感たっぷり!秋の夜長に日本酒編」では、純米酒とアル添酒の味の違いを次のように語っています。

純米吟醸酒は、重いなどということはない。こくがあって力があるのに、風雅な軽みがある。柔らかいし伸びやかだ。
アルコール添加吟醸酒は、その伸びやかさと、柔らかさと、風雅さがない。単に味が薄まってるのを、”軽い”とか”すっきりしている”と、勘違いしているだけだ。

コミック【美味しんぼ】「季節感たっぷり!秋の夜長に日本酒編」作・雁屋哲(2005122日発行)p73より引用

純米酒の製造工程

純米酒の製造工程は、玄米から生酒(なましゅ)ができるまでの前半と、生酒を貯蔵して出荷するまでの後半に分けることができます。

純米酒の製造工程を前半と後半に分けて大まかに見ていきましょう。

純米酒の製造工程[前半]

純米酒の製造工程の前半は、玄米から生酒(なましゅ)ができるまでです。

精米(せいまい)

玄米の表面を削って白米にします。

酒造りに適した米を酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)といいます。

食用の米と比べるとたんぱく質が少なく、心白(しんぱく)という中心部が大きくたくさん水を吸収するので、発酵に適しています。

洗米(せんまい)

精米した白米を洗って糠(ぬか)を取り除きます。

浸漬(しんせき)

きれいにした白米を水に浸し、水分を吸収させます。

蒸きょう(じょうきょう)

米のでんぷんを分解しやすくするために、浸漬した米を蒸して蒸米を造ります。

蒸米は、次の3つに分けられます。
(こうじ)造り用:麹は、酒母造り用ともろみ造り用に分けられる
酒母(しゅぼ)造り用:酒母は、麹と酵母と水で造られる
(もろみ)造り用:醪は、蒸米、麹、酒母、水で造られる

「蒸きょう」の「きょう」という漢字は、「食へんに強」と書きます。

発酵(はっこう)

蒸米、麹、酒母、水を3回に分けてタンクに入れ、「醪(もろみ)」を造ります。

3回に分けてゆっくりと発酵させる醪造りを『三段仕込み』といいます。

上槽(じょうそう)

発酵後、醪(もろみ)をしぼって「生酒(なましゅ)」と「酒粕」に分けます。

上槽が終わってできた純米酒は、まだ火入れをしていない生酒(なましゅ)です。

純米酒の製造工程[後半]

純米酒の製造工程の後半は、生酒を貯蔵して熟成させ瓶詰めするまでです。

火入れの回数によって変わる呼び方

製造工程の後半で滅菌のために火入れをします。ふつうは貯蔵の前後に1回ずつ、合計2回行います。

火入れをすると発酵が止まり味が安定します。しかし、生酒のフレッシュさはなくなります。

火入れをする回数と火入れをするタイミングによって呼び方が変わります。

一般的な純米酒:火入れを2回する
・生詰酒(なまづめしゅ):火入れは貯蔵前に1回だけする
・生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ):火入れは貯蔵後に1回だけする
・生酒(なまざけ):火入れはしない

純米酒の製造量の現状

国税庁の統計資料によると、2018年度の純米酒の製造量は全清酒の約30%です。

醸造アルコールが添加されているアル添酒は約70%です。

まとめ

純米酒は、米と米こうじ、水だけで造られた日本酒です。

添加物が一切含まれていないので、お酒本来の味が楽しめる唯一の日本酒です。

米だけで造っているのに、メロンやマスカットなどのフルーツの香りがあったり、シュワッシュワッとした発泡性があったりするなど、とても奥深い魅力があります。

純米酒の価値が広く認められ、生産量が増えていくことを願っています。

美味しい純米酒を楽しむために、【純米酒の選び方】失敗しないための3視点+知っておきたい7知識 では、純米酒選びで失敗しないために必要な3つの視点、美味しい純米酒を選ぶために知っておきたい7つの知識をまとめています。ぜひお読みください。

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